バンドの青い初期衝動 ~Hump BackのLIVEを観て~ (少々のネタバレあり)
令和になって初めてのダイアモンドホール。通称・ダイホ。新元号になってもこの場所には何度もお世話になるつもりだけど、今回はその新元号を代表する(令和代表バンドになってくれぇぇぇ!!)バンドのLIVEを観た。Hump Back。
・The 青春
高校生と思われる女の子を多く見た。制服のまま来てたけど、学校終わりにライブハウス行ってLIVE観るってある種の青春やんね。これほんとにたまらん。
ってかまず若者が多い。そりゃあ若手バンドだからやけど想像以上に若者が多い。チラホラ親子連れの姿や自分よりも一回り年が離れてる方もいる。が、が。圧倒的な若者の多さ。これにはびっくりした。
開場前にHump Backの公式Twitterアカウントが当日券無しのツイートをした。
【大切なお知らせ】
— Hump Back(official) (@_humpback_) May 10, 2019
本日の当日券ですが、ライブハウスとイベンターとの協議した結果、出せないことになりました。
開場後の状況を見て判断と発表していたにも関わらず、申し訳ありません。
来られる方々は、荷物少なめ軽装でお越し下さい。
関係者との兼ね合いでっていう事が書いてあったけど、仮に当日券出したら大変やったかもしれへん。それくらいごった返してたし満員の手前くらい。キャパギリ超えん辺りかなって見てて思う。今日もダイホは好調だ。
そんな週末の夜をライブハウスで楽しむ。これこそ「The 青春」。そんなひとコマ。
・熱狂の渦と渦
1つのコード、言葉一つ取っても大切に歌ってるバンドは他にもいると思う。けど、けどここまで観客を熱狂させる事ができるバンドって数少ないと思ってて。それはボーカルの林さんが背伸びせずに等身大の、僕たちと同じ立ち位置で話をするから熱狂させてると観てて思った。その一言一言を聴いていちいち自分は感動してたし、何気ない言葉でも人々を感動させる林さんは本当にロックンローラー。
あれは1曲目の「生きて行く」でのこと。「ロックに手拍子はいらない」と言い放って観客を熱狂させたのね。その直後から手拍子が劇的に減ってその見返りに拳を突き上げる人が増えたし。林さん的に手拍子よりも拳を突き上げる観客の姿が好きらしい。それ以降の22曲は拳を突き上げる人が多かった。そんな激しくも聴かせる時は聴かせるLIVE。
・熱狂の渦と渦 part.2
全編熱狂に熱狂を重ねたLIVEでしたけど、どこを切り取っても熱狂塗れで一概に「ここが良かった!」っていうのは本当に難しい。それくらい熱狂の渦の目にいたと思うし熱いLIVEやった。
林さんが「元カレに捧げます」とまさかの告白から始まった「卒業」や、ベースのぴかさんが車校の仮免実技試験に落ちたという話をして悲しみに寄り添う曲と題して歌われた「のらりくらり」など、挙げればキリがないくらい様々な事がありましたね。いやぁ、たまらんすわ。
「VANS」の時に前列がベースのぴかさん側へ流れて人が倒れる(?)みたいな事があったけど、林さんは演奏しながら歌うのを止めて倒れた人を心配してたのね。その時言った「倒れたら立ち上がれば良いんや」の言葉を聞いて、98年のフジロックで「倒れてるヤツはちゃんと起こしてやろうぜ」って観客に言い放ったTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケの言葉と似ててドキッとしたのね。うん。さすがはロックンローラーやなってね。
特に自分が感動したのが次の言葉で。
「ロックで世界は変える事はできないけど、ロックで人を変える事はできるってロックバンドから教えてもらいました」
って話してて。もう感動ですよ本当に。で、演奏されたのが「拝啓、少年よ」でして。
これで会場の空気は1つになったって思うし、これがデビュー曲って改めてすげぇって思ったのね。疾走感だけじゃなくて歌詞にも意味があって、それが夢を見るのを諦めたかつての少年だった人達に響く訳で。それに共感して好きになった人は多いと思うし、実際に今日のダイホにも来てたと思うのね。
Hump Backの初期衝動が人を動かす…これすごいなって。そんな話。
「拝啓、少年よ」から本編最後までは圧巻の流れで、
短編小説
クジラ
僕らは車の中(新曲)
ナイトシアター
悲しみのそばに
月まで
リリー(新曲)
今日が終わってく
星丘公園
とバラードありロックありで盛り上げて終わるのが流石だと思ってて。ライブハウス特有のイントロのコール(オイ!オイ!オイ!オイ!)が「短編小説」から定期的に始まって、曲毎に状況見ながら熱くコールしてましたね。
「悲しみのそばに」って最後に演奏するんじゃないんやって思いながら観ててそこで驚いた。次の曲が「月まで」で静かな始まりだったんですけど、サビで爆発するんですよこの曲って。そこで会場が何度目の盛り上がりを見せる訳で、2分ちょい超えの曲ながら濃密な時間を過ごしたんです。
いやぁ、どれも最高やった。最後の「星丘公園」の大合唱も良かった。どれも良くてみんながみんな若さMAXだったから炭酸よりも弾けてたのね。「君が泣いた夜にロックンロールが死んでしまった」の歌詞を全員で歌う日がくるとは思わんかったし、何かすごく胸にきた。どれも良かったけど、「星丘公園」がベストテイクなんじゃないかなって自分は思う。
新曲を2曲演奏してたけど、1曲目の「僕らは車の中」はD→F♯のコード進行だったし、2曲目の「リリー」なんてC→Bm7-5→EでEは7fだったんですよね。ハイコードだった訳ですけど、これがカッコよくてそこにしか目が行かんかったのよ。そこはいいや。にしてもね、にしても歌詞が最高のラブソングで林さん肝いりでダブルアンコールでも歌われて。音源化がすごく楽しみ。
「いつか」を演奏して終わりメンバーが退場しても鳴り止まない歓声と拍手。扉は開いて帰っていく人達がいる中、ステージから3人の姿が現れて前に前に人波がステージへ押し寄せる。落ちて踏まれる誰かしらのタオル。そこで歌われたのは上記で書いた「リリー」でして。右に左に流れながら前6~7列目で観た演奏でもうお腹いっぱい。人に埋もれて危機感を持ちながら右へ左へ揺れてLIVEを観たのはすごく久しぶりで、(そう言えばダイホってライブハウスやんけ…)って思った瞬間でもあった訳で。
終演を表す曲が会場に流れても観客の声でステージに戻り演奏する。もうカッコイイじゃないですか。LIVEバンドの本気度を観た気がします。
・最後に
Hump Backのワンマンライブを初めて観ましたが、想像以上の熱さと迫力があってシビレました。元々イベントで観た事があったんで初めてっていう訳では無いんですが、あの時よりも熱量が桁違い過ぎて戸惑ったんです。その戸惑いの差を埋めるのに必死だったというか。
でもそれは過去の出来事な訳で、林さんも言ってたように過去よりも今の景色を楽しんでた方が断然良いし、それは割とここでも通ずるなって思います。そんでもって声も絶好調と言ってて聴いてて気持ち良かったです!!最高のLIVEをありがとうございました!
あと、ドラムセットがチャットモンチーで興奮しました。(画像は「悲しみのそばに」のMVより)
Hump Back - 「悲しみのそばに」Music Video - YouTube
終わり。