全員が17才になってたベボベの振替公演 in ダイアモンドホール

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 あれは雨が降っていた3月10日のこと。「公演中止」という文字が開演3時間前に届いた。実はその前日、友人とラーメンを食べに行く前の道中でその日行われた岡山公演の”異変”について話していた。それが翌日現実になったカタチだった。

 

 それから1ヶ月と9日。平成の元号から新しい元号「令和」が発表された。そんな残り僅かとなった平成31年。春の陽気漂う名古屋にてBase Ball Bear(以下ベボベ)のLIVEを観た。

 


・開演前から魅せるベボベ

 

 ここからいつも通りに柔らかく書いていきます。笑

 開演までのSEが2002年縛りで流れてたんですね。思うんです。どんなバンドもLIVEではコンセプトを持って演奏すると思うんですけど、SEまでそのコンセプトでって中々無いと勝手に思ってます。

 

 例えば去年の秋に行われたLIVE IN LIVEも開演までのSEはスリーピースバンドの曲縛りで流れてまして。そして今回も時代で縛って流してました。こんなバンド中々いませんよ。こうすることで時間軸が掴めるんですよね。これにすごくドラマを感じまして。これきっかけで「ドラマチック」ができたんじゃないんかなって思いますもん。

 

 で、その縛りに縛ったSEで椎名林檎がカバーした「木綿のハンカチーフ」が流れました。これも2002年発売のアルバムからの1曲。その他にもBoA平井堅も流れてたり、2002年を強く感じましたね。僕はその時5才だったんでもろ後追いですけど、そんな事を感じてました。

 

木綿のハンカチーフ

木綿のハンカチーフ

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くるりの「ばらの花」がちょうど流れ終わったところで暗転。

 

ばらの花

ばらの花

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 歓声がいつもより違ってたのが身に染みて分かりましたね。今夜もヤバい夜になるなと。そして3人が登場した訳であります!

 

 

・もう「うわああああああああぁぁぁ」


 1曲目の「17才」から気が狂いましたね。こんだけエバーグリーンでかつ爽やかな曲でもトリッキーな会場になってしまうのがダイホの良いところでもあって、今日のLIVEの全てが詰まってた気がします。だって曲で手拍子するところがあるのにそれを掌に穴が開くんじゃないのの勢いで叩く皆さんどうにかしてますよ。笑

 


Base Ball Bear - 17才


 曲が終わって興奮も冷めない中で繰り出された「試される」も狂わした1つの要因ですね。観ている人をLIVEに誘うのがこのバンドは相変わらず上手い。向井秀徳が言うとこの「うまか~」ですよこんなん。この曲の初演奏された思い出の地で、暑苦しい熱気プンプンのこの会場で聴けたのが最高に気持ち良かったです。最高でした。

 


Base Ball Bear - 試される (2018.11.11 Ver.)


 「ヘブンズドアー・ガールズ」から「抱きしめたい」のアルバム「十七歳」ゾーンもこれまた盛り上がった盛り上がった。ともに3カポと4カポの曲なんだ~って観てて感じましたし、それで「うわあああ」ですよ。ましてや「ヘブンズドアー・ガールズ」なんて聴けないんじゃないかって思ってたのでそれが聴けたのも嬉しかったですし、この曲ってよく聴くと奥が深いなぁって思います。こいちゃんの手癖がコード進行として表れてますし、音の骨組みがしっかりしてるから3人でも成り立つんだなぁってどの目線から言ってんだぐらいに思いました。

 

ヘヴンズドアー・ガールズ

ヘヴンズドアー・ガールズ

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 「抱きしめたい」も同じ。ギターが1本減った分、それをスリーピースで鍛えまくった筋肉という名の音で埋めてたのが印象的でした。疾走感が様になってたというか、曲に対して3人映えしてた。

 


Base Ball Bear - 抱きしめたい


 そして「Flame」のアレンジ。これ1カポって初めて知って。それを知った上で観てました。音源がただでさえカッコイイのにアレンジでシンプルさを全面に出して、音を整えての演奏。素直にカッコよかった…!素直に萌えた。こいちゃんのギターソロがコード弾きになってて、そこでみられたカッティングがこれまたまぁ良いのよ。「カッティングと言ったら俺でしょ」みたいなね。そんな感じがこの曲から感じた。

 ギターだけじゃなくて、関根さんのベースもね。ラスサビ~アウトロにみられたベースがもう良い。最初は4弦を軸に階段で下がっていき、次は3弦でフレットを移動して。ローポジションが最後はハイポジションでベースが終わる訳よ。これよこれ。関根さんのベースの進化に進化を重ねた結晶がこの曲のラスサビ~アウトロに詰まってるように感じましたね。もう最高。

 


Base Ball Bear - Flame (Music Video Short Ver.)


 そっからの「Transfer Girl」ってもうね、僕たちをどうしてくれるんですかって言いたくなるくらいの贅沢の極みな流れの訳ですよ。この時にチャップマンスティックに持ち替える関根さん。力強いドラムを叩く堀さん。この曲の間奏が関根さんのチャップマンスティックの見せ所で、この時だけチャップマンスティックエフェクター付けてたんじゃないのって思うくらいあの独特の音が聴こえたんです。その時僕は思いました。

 

 

「関根さんが持ってるチャップマンスティックの下の弦になってあの音を出されたい」

 


ってね。嘘です。

 

Transfer Girl

Transfer Girl

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 「今だからできる色っぽい曲」と言って演奏された「FUTATSU NO SEKAI」というバリバリロックしてる曲。この曲ってアコギじゃないですか。イントロにしてもそうだし、大部分を担ってる音って。それがエレキで、ギターやってる身からするとここだけで飯が食える訳です。LIVEで印象の変わる曲はありますけど、この曲も印象が180度変わりました。素直にカッコイイ。もうアウトロで鳥肌立って飛べると思いましたし。

 

Futatsu No Sekai

Futatsu No Sekai

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 ここで初めて「十七歳」「ポラリス」以外から演奏されたんです。「初恋」なんですけど。

これ3人でやるの!?って思ったんですよ。立体的な音作りをしてるじゃないですか。だからやらないってあったと思うんですけどそこにあえて突っ込む。この「バンドすげぇよ」ってなるんですよね。立体的な音を埋めるべくしてちゃんとアレンジも施されていて、アウトロのギターソロ!あそこで1拍間を空けてたんです。堀さんのカウントからこいちゃんのギターソロに入る。痺れ超えて麻痺。震えたよね。

 

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 そして「PARK」~「ポラリス」と繋がる訳ですが、音源以上に音の厚みを感じたんです。これをグルーヴって言うんでしょうけど、それを強く感じましたね。「PARK」のフリースタイルダンジョン感、ドラムのゴリラがかましてみんな大喜びでしたし、それは「ポラリス」でも見られましたね。2番で堀さんが歌う、それだけで盛り上がるダイホがエグいエグい。3人の決意表明をこの曲からは感じましたね!

 


Base Ball Bear - PARK (2019.2.17 Ver.)

 


Base Ball Bear - ポラリス (2019.3.2 Ver.)

 


ここから盛り上がりまくった曲が続きました。

 

  • 星がほしい
  • 青い春.虚無
  • LOVE MATHEMATICS
  • THE CUT


  この4曲で会場の熱気がもろ夏でしたね。夏ってた。まず、「星がほしい」って疾走感と手拍子で腕が取れるかと思いましたし、「青い春.虚無」でもう沸点。この曲のこいちゃんのカッティングが好きすぎて辛いんですけど、それをこの目で観れたのが嬉しかったです!

 

星がほしい

星がほしい

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青い春.虚無

青い春.虚無

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この曲のアウトロがZAZEN BOYSの「半透明少女関係」を想起させる四つ打ち、ギターとベースと絡まり。あのアウトロの時間は至極でしたよほんとに。

 

 

 間を空けずに「LOVE MATHEMATICS」を演奏されて、もう腕が取れそう。名古屋の人達は良い意味で狂ってるけど、それを切り取って他県に見せるなら多分ここ。この曲の間奏は狂い過ぎて逆に楽しい。LIVEを楽しんでるって素直に思うし、それは「THE CUT」でも同じで。3人になってからのLIVEの定番曲になりつつある曲で、この曲でLIVEの空気が変わるんですよね。それがこの曲の良いところで、自分は素直に好きです。告白したい。

 


Base Ball Bear - LOVE MATHEMATICS

 

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 そして本編最後に演奏された「ドラマチック」という曲。この曲なんですよ。こいちゃんが「やっぱりバンド音楽って」と言って曲が始まったんですね。スリーピースになってから弾き語りで曲が始まるのが多くなったと思うんですけど、今回もその感じから始まりました。何回聴いても沁みるし、この曲の立ち位置って今までだと夏曲だったと思うんです。

 でも、今のこの曲の立ち位置はベボベの歴史が詰まってると聴いてて感じまして。例えばバンド自体4人から3人になったりとか、同期のバンドが解散・活動休止をしたりとか、マネージャーや事務所といった周りを取り巻く環境の変化とか。挙げればキリがないんですけど、それすらもこのバンドはドラマにしてるんですよね。それをドラマチックと言うんだろうし、この曲から学んだ事も多くあったように感じます。この曲も演奏すると会場の空気が一変するというか、空気が変わりますね。すごく分かります。

 


Base Ball Bear - ドラマチック

 

 そうそう。ラスサビのところで30代くらいの男性の方がドラムのブレイクするところでジャンプしてたんですよ。「時がチクタク」のとこですね。その姿が17才の少年のように見えて、その人の17才は知らないですけど若々しく感じたんです。その人だけじゃなくて、観てる人全員が熱く盛り上がっていて、17才のような青春を今この場で過ごしてるなって思いましたね。ベボベの3人も、観てる人全員も引っ括めて「ドラマチック」でした!

 

 

 そんな感じで本編が終わって蒸発した空気を吸って体温が上がってきたところで、再び3人が登場!名古屋で恒例となりつつある情報解禁!EPのリリースとツアーの発表!!!!

 

natalie.mu

 

 最高に気持ち良い!何回「ありがとう」と叫んだか分からんくらいに感謝感謝のオンパレード!今年もベボベに付いていきます!

 


 という流れからポケモントレーナーのようなスタイルに着替えた関根さんボーカルの「WINK SNIPER」へ。萌えたし燃えた。年齢を重ねて美しくなって、でもどこか抜けてる感じがたまらないんですよね。そんな事を思いながら聴いてて、ひたすら関根さんのベースを観てました。インスタ映えを超えた3人映えの演奏がそこにはあって、とにかくぶち上がったんです。もうそれはそれは最高という言葉で片付けたくないくらい最高でしたね!

 

Wink Sniper

Wink Sniper

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で、アウトロが終わって台から飛ぶ仕草を関根さんがするも飛ばなくて2人からツッコまれてましたね。ここが今日のハイライトなんじゃないかなって思ったりしてます。笑

 


 ここで本当は終わりなんでしょうけど、モヤモヤして締まりが悪かった事もあって再度登場。みんな帰らずにひたすら手拍子。「愛はおしゃれじゃない」の合唱が良かったなぁ。

 

愛はおしゃれじゃない

愛はおしゃれじゃない

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 そして歌われた「夕方ジェネレーション」がもう良すぎてたまらん。音源以上にアップデートを重ねて最新版になってて、所謂もう進化よね。歌の上手さと演奏の円熟した感じが相まって聴くのが気持ち良かった。間奏なんてどんだけこいちゃんギターソロをかましていくのって思ったし、もうそれで弾く人と観る人が酔狂してた。完全に酔ってたし、その中にいたのが最高に気持ち良かった。

 

夕方ジェネレーション

夕方ジェネレーション

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ここでもアウトロで関根さんがリベンジとして飛ぶと思ったけど、結局飛んだのは堀さんだけでモヤモヤがまた残りましたね。そしてまたまたツッコまれる関根さん。

 


 そんなモヤモヤした空気を打破しようと会場からアンコールの手拍子がまたまたまた起こる。初めてのトリプルアンコール突入!!!

 やっぱりこの曲をやらないと終われないと言わんばかりの「祭りのあと」が締めにはピッタリでして。イントロで「うわあああああぁぁぁ」ってなって、それがいつの間にか声になってましたね。それで狂うように声出して飛び跳ねてっていうのを最後までやりまして。いやぁ、曲と共鳴して身に染み込ませながら聴くのが気持ち良いんです。改めて最後の締めに相応しい曲だなぁって思いましたね!

 


Base Ball Bear - 祭りのあと

 

そんなみんなが熱狂してる状況から関根さんが台に上がり、堀さんも座ってた椅子に上がり、そしてそしてこいちゃんも台に上がって3人が飛ぶ。今回は成功したようで何よりでした。笑

 


そんな熱狂に熱狂を重ねた振替公演が終わりました。熱気で倒れそうな勢い。身体がもうしんどい。LIVEが楽しい分、身を削って観てるのが素直に感じますね…。

では硬めの文に戻ります。笑

 

 

 

・最後に

 
 個人的に平成最後のLIVEがベボベで本当に良かった。大学生になってLIVEを観に行くようになったが、その中でも群を抜いて多く観てるのがこのバンドだ。平成の終わりに聴くようになってハマったバンドだが、影響を多く受けたのは間違いなくこのバンドである。自分が書く卒論のテーマが「青春」であるのは紛れもなくこのバンドの影響を受けたからで、自分の中では平成を代表するバンド一つだ。それくらい好きで、自分がLIVEに行けるうちはこのバンドに付いていきたい。そんな事を考えているLIVE終わりの夜だった。